眼科の検査、診察は映像で一目瞭然になるものが多く、ご自身の症状を知る上で大変役に立ちます。 そんな眼科医の心強い味方である近頃の検査機器について、実際の撮影図を交えながらご紹介させていただきます。
FAF(眼底自発蛍光)
網膜色素上皮に貯まったリポフスチンと呼ばれる老化物質を撮影する検査です。
リポフスチンは加齢とともに蓄積され、その毒性で視力に影響を及ぼします。
リポフスチンは特定の波長の光を照射することで蛍光を発し、その蛍光を撮影することで網膜上皮の状態を探れます。
では実際の症例をもとに、FAFの画像を見てみましょう。
網膜色素変性
左は網膜色素変性の方の眼底写真です。右はそれをFAFで撮影したものです。
正常な網膜を撮ると、下のようになります。
正常な網膜のFAFは一面にムラのない均一な蛍光が見られます。
網膜血管や視神経乳頭はリポフスチンが存在しないため、黒く見えます。
網膜色素変性のFAFは周辺部の網膜変性部がかなり低蛍光となっています。
これは網膜色素上皮自体が萎縮してしまっているためです。
眼底写真とFAFを比較するとカラー写真ではわかりにくかった網膜の健常部と萎縮層の境界を
FAFならばはっきり確認できます。また、萎縮層が黄斑部にも及んでいる事がわかります。
黄斑変性
上はある方の両眼の眼底カラー写真です。
両眼ともに黄斑部がやや黄色く、特に右眼に2か所黄色い班点があるのが気になります。
矯正視力は両眼ともに1.2と良好ですが、念の為FAFを撮ってみました。
両眼とも黄斑部は低蛍光で、周りに取り囲むように過蛍光の部分があります。
右眼に見えた黄色い班点は黒く網膜色素上皮が障害されているのがわかります。
さらに精密な検査が必要と判断し、こちらの方には詳しく検査できる病院をご紹介いたしました。
後日、黄斑変性の疑いで精査をするというお返事をいただきました。
病気を早期に発見できたのは幸いでした。
この様に視力が正常で自覚症状がない場合でも最新の検査機器を使用することで
隠れた病気を早期に発見できる場合がございます。
定期的な眼科検査の受診を、ぜひおすすめいたします。