エピソード

「散瞳検査とアレルギー」

眼底検査は眼科のもっともポピュラーで、大切な検査のひとつです。
黒目(角膜)の中央にある瞳を通して光を入れ、同時に眼底の視神経や網膜を観察します。 瞳は普段は3mmほどで、この大きさでもかなり周辺部まで見えますが、見落としのないよう、点眼液を使って瞳を大きくします。これを散瞳といいます。
散瞳に使う点眼液は、ほとんどの場合、ミドリンPという点眼液を使います。ミドリンPは、トロピカミドとフェニレフリンという二つの成分が含まれます。
私の近しい方の散瞳検査をした時の事です。
数時間後に両眼の激しい充血と眼やに、掻痒感を訴えられました。
以前に他院で検査後にも同様の症状があったため、アレルギーが疑わしかったのですが、細菌性やウィルス性の結膜炎を否定できるのか確証がなく、判断に苦しみました。
一応、点眼液の副作用の欄にはアレルギーがありますが、私の経験では、今まで同様な方はありませんでした。
点眼液という物性上、即時型のアレルギーであっても不思議はないのに、数時間後という遅延型に近いアレルギーの型も判断に迷う原因のひとつでした。
ミドリンPのふたつの成分のうち、恐らくフェニレフリンによるアレルギーであろうと予測し、確認のため、ご本人の了解を得てパッチテストを施行しました。
ミドリンMはトロピカミドのみで、フェニレフリンを含まない点眼液です。
ネオシネジンは、フェニレフリンのみの点眼液です。
ミドリンMは、以前、仮性近視の治療によく使われていました。ネオシネジンは、手術等の時に極大散瞳させたい時に使います。どちらも普通の眼底検査ではまず使われません。
ミドリンMに反応がなく、ネオシネジン(フェニレフリン)のみに反応すれば、間違いなくミドリンPによるアレルギーであったと確証できるわけです。
下がパッチテストの結果です。 写真ではわかりにくいかもしれませんが、ミドリンPでは薄く発赤し、ミドリンMでは反応がなく、ネオシネジンでは発赤のみならず膨隆して強い反応が出ています。
ミドリンPと、ネオシネジンの差は、ミドリンP中のフェニレフリンは1ml中に5mgであるのに対し、ネオシネジン中のフェニレフリンは1ml中に50mgと、ひとけた違うからです。
皮膚はバリアーが強いため、パッチテストできちんと結果が出るかどうか不安でしたが、予測したとおりの結果が、しかも濃度差までも明らかに出たのには自分でも驚きました。 ご協力いただいた方には心から感謝しています。
この方の今後の眼底検査にはミドリンMを使う予定ですが、検査の結果が臨床に活かせて本当に良かったです。

Director
院長
髙橋 眞理子

【診療方針】
当院は、新宿区市谷薬王寺町で2013年1月4日から開業しました、とってもアットホームな眼科医院です。地域の皆様に良質な眼科医療をご提供することを理念として、日頃から、皆様の体質や病歴、健康状態を把握し、診療とそして健康上のアドバイスなどもできる「かかりつけの眼科医院」を目指してまいります。 眼科の病気は、視力という生活にとって重要な機能と結びついていますが、ほんの些細な症状もあれば、時には、はっと胸を衝かれる重大な疾患を抱えた方に出会う場合もあります。大がかりな手術や最先端の検査が必要と判断した場合には、大学病院等の施設へのご紹介もさせていただきます。 常におひとりおひとりに丁寧で距離のない診察をと、心がけています。

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